報道Times東京・湾岸

第2,847号 / 2026年11月7日土曜日

東京・湾岸 日刊

報道Times

東京・湾岸の変化を、議会資料と現場の記録から書く。都政、湾岸開発、交通、災害、経済、文化。

湾岸の埋立地は、いま東京でいちばん人が増えている場所だ。江東区の人口は2026年10月1日で54万8,200人。5年前より4万2千人多い。護岸の高さ、通勤列車の混雑、液状化の危険は、埋立が始まった1960年代の設計をまだ引きずっている。

東京湾のコンテナ埠頭とガントリークレーンの夕景
大井ふ頭のコンテナ埠頭。岸壁の水深は16メートルで、8,000TEU級の船が接岸する。撮影 2026年11月2日 15時20分

今日の紙面

6面
01都政

区の当初予算、都市整備費が一割を超えた

江東区の2026年度一般会計は1,914億円。うち都市整備費は218億円で、全体の11.4パーセントを占める。護岸の補修と雨水貯留管が半分近くを飲み込む。9月の区議会で可決した補正予算34億円も、同じ二つの事業に充てる。

報道Times 都政面

02湾岸開発
東京の運河の石積み護岸に打ち寄せる水面の接写

晴海の護岸、海面から5.8メートルへ

東京都港湾局は晴海ふ頭の護岸を2027年度から2031年度にかけて嵩上げする。現在の高さは4.5メートル。事業費は236億円で、高潮と津波の両方を想定した断面に作り替える。設計は2026年度中にまとまる。

報道Times 湾岸開発面

03交通
高架線の信号灯とレール継ぎ目の接写

有明の交差点、朝の待ち時間は94秒

臨海副都心の幹線交差点で、平日午前7時台の平均待ち時間は94秒だった。2025年度に編集部が12日間測った数値である。国際展示場駅の改札通過は1分あたり最大210人。ゆりかもめの増発は2027年度の予定で、道路側の調整はまだ始まっていない。

報道Times 交通面

04災害
海沿いの防潮壁に付いた真鍮製の潮位目盛りの接写

液状化の想定区域、湾岸3区で32パーセント

東京都の2025年度被害想定では、江東区、港区、中央区の埋立地のうち32パーセントが液状化の恐れがある。護岸の背後は特に弱い。区が指定する避難所は3区で合わせて214か所、収容人数は31万人を超える。

報道Times 災害面

05経済
コンテナクレーンの鋼板とボルトの接写

東京港のコンテナ、前年より3.1パーセント増

2025年の東京港のコンテナ取扱量は489万TEU。前年を3.1パーセント上回った。大井ふ頭の再編で岸壁の奥行きが広がり、8,000TEU級の寄港が増えた。一方で、荷役の担い手は2020年から900人減っている。

報道Times 経済面

06文化
木製の机に置かれた日付印とインク台の接写

運河の名前は、交差点に残る

1962年に始まった運河の埋め立ては1970年代にほぼ終わり、跡地の多くが道路と公園になった。佃、石川島、浜町。地名とバス停だけが水の記憶を運ぶ。湾岸の埋立認可書には、当時の護岸の高さが4.5メートルと記されている。

報道Times 文化面

湾岸ノート

現場記録

記者が現場で見たこと、聞いたことを日付順に置く。数字は後から資料で確認し、確認できたものだけを紙面に載せる。ここは作業中の記録で、訂正があれば同じ行に書き足す。

記録 4件 / 2026年11月2日から11月6日

  1. 晴海ふ頭

    岸壁沿いに測量の杭が20メートル間隔で打たれていた。杭には白いテープが巻かれ、潮位の基準点を示す赤い印が付いている。港湾局の担当者は、嵩上げの範囲は第一線から12メートルまでだと話した。作業は夜間に行い、荷役を止めない計画である。

  2. 江東区議会

    建設委員会は雨水貯留管の延伸を審議した。対象は枝川から東雲までの2.4キロ。内径は3.5メートルで、1時間に50ミリの雨を3時間ためられる容量を確保する。委員からは維持費の質問が4件出た。答弁は「年間2億1千万円」だった。

  3. 有明

    交差点の歩行者信号は青が28秒、赤が94秒。通勤客は赤の間にスマートフォンを見る人が多い。自転車の通行帯は幅1.8メートルで、右折車との接触が2025年に7件あった。区は2027年度に右折レーンの延伸を検討している。

  4. 大井ふ頭

    ガントリークレーン3基のうち1基が停止していた。制御盤の交換で、復旧は翌朝の予定。荷役は残る2基で続け、接岸した船の出港は2時間遅れた。岸壁の水深は16メートル。8,000TEU級の船は満載に近い状態でも入港できる。

数字で見る湾岸

基準日付き
指標数値基準日出典
江東区の人口548,200人2026年10月1日住民基本台帳
湾岸3区の5年間の人口増62,000人2026年10月1日住民基本台帳
東京港のコンテナ取扱量489万TEU2025年東京都港湾局
晴海ふ頭の護岸高4.5メートル2026年4月港湾局施設台帳
高潮対策の基準高5.8メートル2026年4月東京都高潮対策計画
液状化の想定区域32パーセント2025年度東京都地震被害想定
指定避難所2,148か所2026年4月東京都防災部
有明交差点の朝の平均待ち時間94秒2025年度編集部現地調査

数値は公表資料による。編集部が独自に測ったものは出典欄にその旨を記した。

湾岸の用語

6語
埋立地
海面を土砂で埋めて作った土地。湾岸3区の面積の約4割が該当する。
高潮
台風や低気圧で海面が上がる現象。東京湾では最大3.5メートルの記録がある。
液状化
地震の揺れで砂の地盤が水を含み、液体のように振る舞う現象。
耐震岸壁
地震の揺れを受けても荷役を続けられる構造の岸壁。大井ふ頭の一部が該当する。
臨港道路
港湾施設と幹線道路を結ぶ道路。大型車の通行を前提に設計される。
TEU
20フィートコンテナ1本分の単位。港の取扱量を示すときに使う。

本日の記事

更新 18時

本日の記事は編集中である。湾岸の現場から戻った記者が、護岸の工事と区議会の審議を書いている。掲載は18時を予定する。それまでの間は、上の紙面と湾岸ノートを読んでほしい。

次の更新

18時00分

区議会の補正予算、晴海ふ頭の測量、有明の信号調整。

編集室から

報道Timesは2019年4月に創刊した。記者6人と通信員14人で、江東区、港区、中央区、品川区、大田区を歩く。取材の依頼、数字の誤りの指摘、写真の提供はご意見のフォームから受け付ける。